母親の死についてどう説明したか
ブログの中でも何回か書いておりますが、私には7歳になる息子がいます。
妻の死、息子からすると母親の死を息子にどう説明するか、これは親としてとても大きな問題だと思います。
息子は生まれてから、立ち上がって歩けるようになるまで少し時間がかかったのですが、ようやっと立ち上がってヨチヨチ歩けるくらいの時に妻が乳がんんになり、子供の人生の大半は母親が病気の状態で育ってきました。
息子も4歳、5歳になり、周りのお母さんとは違うことに少しづつ気づいてきます。家では髪の毛がないのに外ではカツラをつけてあるく、いつも病院で注射をしてそのあとは家でぐったりしている。
そんな母親を見た息子は、
「ママはいつか死んじゃうの?」
というようなちょっとドキッとするような質問をしてくるようになりました。
妻はそんな時、決して希望を持たせるようなことは言わず、
「いつかいなくなっちゃうけどいつも一緒にいるよ。」
といっていました。息子はいつもそれを聞くと意味があまりわかっていないようで、何故か嬉しそうにニコニコしていました。
きっと「いつも一緒にいられる」って単純に思っていたのでしょうね。
話は戻りますが、こうして、息子は生まれてからいつもママが病気の状態で、それが当たり前に育ってきたため、なんとなく「いつか死んじゃうんだな」ってことはわかっていたようです。
ただちゃんと説明できたのはこの後に書きます病院の子供の心のケアを専門に対応しているチームの皆さんのおかげでした。
病院からの子供に対するケアに感謝
妻が入院して、緩和ケアの病棟に移ってすぐの事ですが、看護師さんに
「お子さんの心のケアとかどうしてますか?」
って聞かれたことがありました。私は不意を突かれたような気持になり、妻が緩和ケアに移ってからというものの、もちろん病院に泊まったりも一緒にしていましたが息子も飽きてしまうので度々親に預けるようになり完全に息子の心のケアを怠ってしまっていました。
「いえ、特別何も、、、いろいろ病気が悪くなってきていることくらいは伝えています。」
と私は歯切れ悪く返答…。
看護師さん:「もしよかったら子供の心のケアをしているチームが病院にあるので一度話してみてはいかがでしょうか?」
私:「そんなのあるんですね。(昔から心のケアとか他人ができるもんじゃないだろ、とか思っていた私はあまりノリ気でありませんでした。)」
看護師さん:「一度話でも」
私は、確かにこのままでは息子にちゃんと説明できないまま、妻が亡くなるのも後々子供にとっても、私と子供の関係にとっても良くないと考え、話でも聞いてみることにしました。
子供の心のケア専門チームとの面談
確か看護師さんと話をしてから2日後くらいに担当者の方とお話をしたかと思います。
「お子さんにはちゃんとお母さんの死の事を話してあげた方がいいです。」
それが彼らのアドバイスでした。色々な親の考え方があると思いますが、彼らはそう言い切りました。
私個人としてはいつかは話さないといけないと思ったのですが、彼らは
「いま、亡くなる前に話してあげてほしい」言うのです。
私は内心(そんな今じゃなくても)と思いながらお話を聞きます。
そこで担当者の方は1冊の冊子を渡して、一部読んでくれました。
今度その冊子を見つけたら詳細をブログでも書いていこうと思いますが、確か以下のように何話か、段階的に書かれていた記憶があります。
- 病気になったのは誰が悪いわけでもない
- お話ができなくなったとき
- お別れの時
こんな感じで何段階かに分かれていたと思います。
それをできるだけ1日1ストーリー読み聞かせる、そして最後になくたった時に最期のお別れの時のストーリーを読んであげるといった感じだったと思います。
初めは息子も怖がって、読み聞かせようと思っても拒否していましたが、大切なことだから、と言い聞かせ何とか読んでいきました。
もちろんこんな内容平常心を保って読めるわけもなく、毎回涙ボロボロで顔をぐちゃぐちゃにしながら子供に読んであげました。
もちろん、この本と担当者の方のアドバイスは適格で子供に説明するという意味では凄い助けになってのですが、
このことがきっかけで、息子も妻と接する機会を増やしてくれました。
今までは病室に来てもゲームをやっていたりして時間をつぶしていたのですが、
積極的に少し食べられるシャーベットを口に運んであげたり、歯磨きの手伝いをしてくれるようになりました。
残り少ない時間をママと過ごして少しでもママのお手伝いをしてあげようという気持ちになってくれたのだと思います。
それからも専門チームの皆さんあ時折来てくれて、画用紙とペンを持ってきては何か妻の事を書かせてくれたり、最後の思い出を一緒に作って手伝ってくれました。
子供は強し
というかまだ7歳だしわかっていない部分もあるのかもしれませんが、子供は私が思っていた以上よりも、はるかにとても強いし適応能力があるなと思います。
私はまだ、半年以上経ったいまでも、仕事は100%復帰できていませんし、やる気も起きません。家族皆で行ったレストラン、公園、一緒に食べた食べ物、写真を見るたびに落ち込み、悲しくなり、涙がでてきます。
息子は妻が生前言った
「死んでもママはずっと一緒にいる」
というのを真面目に信じているようで、いつも自分の胸を指さし
「ママはずっとここにいるから寂しくない!」といいます。